「AI推進法案」とは? 法案の目的、背景、構成を解説!

2025年2月、日本政府は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案(AI推進法案)」を閣議決定し国会に提出しました。4月24日には衆議院を通過し、5月16日に参議院での審議入りしました。この法律は生成AIを含む人工知能技術を日本社会に安全かつ効果的に活用していくための、初の包括的な法制度です。
本記事ではAI推進法案の目的、背景、構成についてわかりやすくご紹介します。
目次
法案の目的と背景
この法案の最大の目的は、AIを活用することで国全体の生産性を向上させ経済の成長を持続させることにあります。特に人手不足が深刻化する中、AI技術は中小企業にとっても業務効率化やサービス向上の大きな武器となります。
背景には以下のような課題があります。
- 日本のAI活用は欧米諸国に比べて遅れている
- 生成AIの登場で情報管理やフェイク問題など新たな課題が急浮上している
- AIに関する法律が整備されておらず、企業側も対応に迷っている
こうした状況を受けて、政府は安心してAIを使えるようなルール作りと企業がAIを導入しやすくなるような支援体制の構築を進めています。
法案の構成とポイント:押さえておきたい4つの柱
AI推進法案は以下の4つの柱から成り立っています。
① 総則(基本理念と役割分担)
- 法律の目的・定義・基本理念および、国・地方公共団体・研究開発機関・活用事業者・国民それぞれの責務を規定
- AI関連技術の推進に向けて、関係者間の連携強化や必要な法制上の措置についても規定
② 基本的施策
- 研究開発の推進、施設・設備(データセンター等)の整備・共用、AI人材の育成、教育振興、適正性確保、国際協力など、国が講ずべきAI推進施策を規定
- AIの実態調査・分析や国際的な規範に即した指針整備など、社会的課題への対応についても規定
③ AI基本計画
- 政府がAIの研究開発・活用推進に関する「人工知能基本計画」を策定することを規定
- 計画には基本方針や政府が総合的・計画的に講ずべき施策を盛り込み、閣議決定・公表の手続きも規定
④ AI戦略本部の設置
- 内閣に「人工知能戦略本部」を設置し、AI推進施策の総合的・計画的な推進を担う組織体制を規定
- 本部長は内閣総理大臣、構成員は全閣僚等とし、AI基本計画の策定や施策の調整を実行
まとめ
AI推進法案は、大企業だけでなく中小企業にも大きなチャンスをもたらす法律です。業務の効率化、販売促進、顧客対応の自動化など、さまざまな分野でAIの活用が現実味を帯びています。
中小企業にとっても「AIを使わないリスク」が顕在化していく時代が始まります。AI導入に関する国の方針や支援策の最新情報を把握し、業務へのAI活用の検討や社内教育の整備など、自社に必要なアクションを検討していきましょう。