「OpenAI for Countries」始動!AIの未来を共に築く国家連携。「GENIAC」との関係は?

2025年5月7日(米国時間)、OpenAIは「OpenAI for Countries」と題した国際的なイニシアチブを発表しました。このプロジェクトは、各国が民主的な価値観に基づいてAIインフラを整備し、自国のニーズに適した形でAI技術を導入できるよう支援するものです。OpenAIは初期パートナーとして10カ国との連携を開始するとしていますが、その具体的な国名は現時点で公表されていません。ただし、日本はOpenAIとの協業を進めており、初期パートナーである可能性が高いと考えられています。本記事では「OpenAI for Countries」の概要と日本の関与について解説します。

目次

「OpenAI for Countries」とは?

この取り組みはOpenAIの大規模データセンター構想「Stargate」の国際展開の一環として始まりました。目的は、AI技術の民主的利用を可能にするために、各国が自国の法制度、文化、ニーズに合ったAIを自ら構築・運用できるようにすることです。

主な取り組み内容

  1. 国内データセンターの構築支援
    各国が自分たちのデータを安全に管理できるように、専用のデータセンターを構築する支援をおこないます。これにより、AIをその国のニーズに合わせてカスタマイズしたり、データを安全に使えるようになります。たとえば、医療や教育のデータを守りながら活用することが可能になります。
  2. その国専用のChatGPTを提供
    その国の言語や文化に合わせたChatGPTを提供します。これを使うことで、たとえば、病院での診察を効率化したり、学校での教育をサポートしたり、役所の手続きを簡単にすることができます。つまり、AIがその国の人々の生活を便利にする手助けをします。
  3. AIモデルのセキュリティと安全性を強化
    AIがもっと賢くなるにつれて、安全に使えるようにするための仕組みを強化します。たとえば、AIが悪用されないようにするための対策や、データを守るためのセキュリティをしっかり整えます。また、AIが人権や民主的な価値観を尊重するように設計されます。
  4. スタートアップ基金の設立と展開
    OpenAIと各国の資本を活用し、AIを活用した新しいビジネスを始めたい企業を支援するための資金を用意します。これにより、新しい仕事や会社が生まれ地域経済が活性化します。たとえば、AIを使った新しいアプリやサービスを開発する企業が増えることが期待されます。
  5. グローバルなStargateプロジェクトの拡大
    各国がこのプロジェクトに参加することで、世界中でAIを活用するネットワークが広がります。たとえば、日本がこのプロジェクトに参加することで、他国のAI技術や知識を共有し合い、日本の技術力もさらに向上する可能性があります。

OpenAIはまず10カ国との連携を開始し、順次その範囲を拡大する方針です。

日本は初期パートナー国のひとつ?

OpenAIは現時点で初期パートナー10カ国を公式には発表していません。しかし、以下のような動きから、日本が初期パートナー国である可能性は高いと見られています。

ソフトバンクとの合弁会社「SB OpenAI Japan」の設立

OpenAIはソフトバンクと協力し、日本企業向けにAIサービスを展開する合弁会社を設立しました。ここでは、日本語に最適化されたChatGPTの提供などが検討されています。

大阪でのAIデータセンター構想

ソフトバンクは、旧シャープ液晶パネル工場跡地を活用してAIデータセンターを設置する計画を進めており、OpenAIと連携したインフラ拠点としての役割が期待されています。

これらの取り組みは、OpenAIが日本との深い協力関係を築いていることを示しており、初期パートナーであるとの推測を裏付けています。

今後の展望

OpenAIは、今後さらに多くの国々と連携を広げていく方針です。日本では教育・医療・産業など、さまざまな分野でのAI活用が進むと予想され、自治体やスタートアップとの連携も拡大していくでしょう。

GENIACプロジェクトとの関係性と補完性

日本では経済産業省とNEDO主導のもと、「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」プロジェクトが進行しており、国内企業や研究機関による大規模生成AI(LLM)開発が活発化しています。GENIACは国産AIの自立的な発展を目指す取り組みで、計算資源やデータ連携、知識共有などを支援しています。OpenAI for CountriesとGENIACプロジェクトに直接的な連携は確認されていませんが、以下のような相互補完が期待されます。

  • OpenAIの提供するインフラと、GENIACが育成する国内のAI人材・研究成果の連携
  • 汎用型のChatGPTと、特定分野に特化した国産モデルの併用による多様なAIニーズへの対応
  • グローバルとローカルの連携による、AI国際競争力の強化

まとめ

現時点では、OpenAI for CountriesとGENIACプロジェクトの間に公式な連携は確認されていません。しかし、両者は日本のAIエコシステムを異なる立場から支える重要な柱です。OpenAIのグローバルなネットワークとGENIACによる国内主導の開発が相互に補完されることで、日本における生成AIの社会実装がさらに加速することが期待されます。

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